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アイテナリー

ラリーでは「行程表」などと呼ばれて、ラリーの進行を分刻みの日程表として表したもの。TCやSSの通過ルートや距離、ターゲットタイム、通過予定時刻などが記されており、競技は総てこのアイテナリーにしたがって進行される。

 

アジパシ
アジア・パシフィックラリー選手権を略した通称名で、Asia Pacific Rally Championship(APRC)のこと。ヨーロッパのヨーロッパ選手権と同様にWRCに次ぐ地域選手権のうちのひとつである。これまで多くの日本人 ラリーストたちもAPRCで活躍をしてきた。APRCが誕生した1988年に篠塚建次郎選手(三菱ギャラン)がAPRCの初代チャンピオンとなったのをは じめとして、1996年には片岡良宏選手(三菱ランサーエボリューションIII)がグループNチャンピオンを獲得。1998年には藤本吉郎選手(トヨタセ リカ)、1999年には田口勝彦選手(三菱ランサーエボリューションVI)がシリーズチャンピオンを手にしている。

 

インカット
コーナーのイン側をカットして走る走法。ターマックなどでは少しでもタイムを稼ごうとして、舗装路面と段差があっても片輪をイン側のダートに落としてコー ナーを効率良く直線的に抜けて行くことがある。しかし、グラベルではイン側に大きな石が隠れていることも多くリスキーでもある。したがってレッキでは、 コーナーのイン側のチェックは特に重要である。

 

インターコム
ラリーカーの内でドライバーとコ・ドライバーが会話するための装置。スピーカーとマイクの組み合わせになっている。SS用はヘルメットに埋め込まれ、ロー ドセクション用はヘッドセットとマイクの組み合わせ。また、無線機と組み合わせることによって、チームとの交信にも使われる。これが故障したら致命的なト ラブルに巻き込まれる可能性大。

 

FIA(Federation Internationale de Automobile)
国際自動車連盟。スイス・ジュネーブに本部を置き、会長はマックス・モズレー。モータースポーツにおいてWRC、F1などの世界選手権や、さらに地域選手 権などを統括している。世界各国の自動車連盟(ASN)が加盟しておりその構成員をなす。日本のASNはJAF(日本自動車連盟)。

ガソリン
WRCは競技を面白くする目的で、さまざまなイコールコンディション化が図られている。ガソリンに関しては、ワークスを含むシードドライバーはFIAが管 理するガソリンを使用することが義務づけられて、イコールコンディション化が図られている。2004年1月からはシードドライバーに限らず、全てのコンペ ティターにこのFIAガソリンの使用が義務づけられている。給油は全て、サービスパークやリグループエリアに隣接したリフューエルゾーンで行われる。

 

救急医療ヘリコプター/EMS
「EMSヘリコプター」とは Helicopter Emergency Medical Serviceの略で、救急医療ヘリコプターのこと。重傷者が出た場合には他のレスキューチーム、医療チームと連携をとって病院へ搬送することも時々起きている。

 

クラス
競技参加車両は大きく分けると、グループA・グループNといった2つのグループに区分される。また、それぞれのグループ内でも、更に排気量によって「N1クラス」〜「N4クラス」というふうにクラス区分されている。

 

グラベル
ダートとも呼ばれる未舗装の路面。土、岩、砂地などさまざまなタイプの路面がある。スムーズ(フラット)路面、ラフ路面などと分けられることもある。スムーズ路面の代表格はフィンランドラリーで、ラフ路面ではサファリラリーやアクロポリスラリーが有名である。天候によっても路面情況が大きく変化する。

 

グラベルクルー
グラベルノートクルーとも呼ばれる。マニュファクチャラーチームはSSコースが閉鎖される直前にグラベルカーを走らせることが出来るが、これに乗り込むのがグラベルクルー。グラベルクルーは実際に使用するペースノートのコピーを持ち、ラリーカーが走る1時間から2時間前にコースを走り、より本番に近いコース状態や、レッキ後の路面の変化をチェックする。この情報は直ちにサービスパークに送られ、タイヤ選択や実際のラリーカーの走行に生かす。現在のラリーで勝つためには必須の存在といえる。若手ドライバーや、引退した有名ドライバーがグラベルクルーの任に当たることも多い。

 

グループ
競技参加車両は大きく分けて「グループA(ツーリングカー)」と「グループN(プロダクションカー)」といった2つのグループに区分される。グループA車両もN車両も量産された市販車をベースとしている。グループA車両がある程度の改造が認められているのに対して、グループN車両はほとんど認められていない。グループA車両より更に改造範囲が広い「WRカー(ワールドラリーカー)」もあるが、WRカーも区分においてはグループA車両に含まれる。

 

グループA
87年からWRCの主役を務めているカテゴリー。連続した12ヶ月間に2500台以上生産された車両をベースとして、定められた範囲の改造が許される。ただしWRカーと異なり、4WD化やターボの追加装着は認められていない。

 

グループN
グループA同様に、連続した12ヶ月間で2500台以上生産された市販車をベースとする。ただし改造は大幅に制限され、基本的には安全装備とサスペンションの改造程度が認められたカテゴリー。市販車にごく近いため、ショールームクラスと呼ばれることもある。

 

コ・ドライバー
一般的にはナビゲーターと呼ばれる。主な仕事は走行中にルートマップやペースノートを読むことで、ドライバーの運転をサポートする。当然、ドライバーは全てのコースを記憶することは不可能なため、コ・ドライバーは不可欠の存在である。コ・ドライバーは戦略を立てたり、ドライバーの精神状態の安定化などにも気を配っている。また、レギュレーション上はコ・ドライバーが、ドライバーと交替してラリーカーを運転することも可能だが、実際にはほとんど見られない。

 

コマ地図
クルーに配布される「ロードブック」には、走行ルートの交差点や曲がり角などが記号で記されている。コマ図は通常の地図とは異なり、ルート全体を地図に表したものではなく、通過する分岐点ごとに1つの図として表している。そこには区間距離(あるコマ図から次のコマ図までの距離)や、そこでの指示所要時間(速度)などが記されている。コ・ドライバーがこれらを読み上げ、ドライバーに指示を出して、指定されたルート通りに走行させていく。

 

コントロール
「コントロール」とは、ラリールート上に設けられ、競技車の通過を確認する場所のことを言う。大きく分けて、通過の有無をチェックする「パッセージコントロール(PC/Passage Control)」と、通過した時刻をチェックする「タイムコントロール(TC/Time Control)」がある。

 

コンペティションナンバー
競技車両のゼッケンのこと。競技車は排気量などによってグループ分け、およびクラス分けがされている。主催者はこれらを出走順に並べてコンペティションナンバーを与える。

サービスカー
ラリーのサービスを行なうための専用車。トレーラー、トラック、バンなど多種多用。各チームの本拠地が多くあるヨーロッパラウンドでは、大型トレーラーやトラック、コンテナで移動する。逆にヨーロッパ以外のイベントでは、小型トラックやバンが使用されることが多い。パーツ、工具などが整然と置かれ、完全に動く自動車修理工場である。

 

サービスパーク
ラリーカーの状態をチェックしたり修理を行う場所。以前はSSやパルクフェルメ、リグループ以外ならどんな場所でもサービスを行うことができたが、現在では、ドライバーとコ・ドライバー以外のラリークルーが行うサービスは、サービスパーク内に限定されている。競技車はサービスパーク以外の場所で、チームスタッフやその他のいかなるサポートも受けることはできない。またサービスエリア内であっても、予めサービスのために登録されたチームスタッフでなければ作業を行うことはできない。オフィシャルがサービスに係る違反の有無を厳しくチェックしている。また、サービスパークの場所は1ラリーで2ヶ所までと決められている。サービスパークのIN/OUTに許される時間は、だいたい各レグ最初のサービスが10分、レグ1とレグ2の後のサービスが45分、それ以外は20分となっている。これらのサービス時間をオーバーするとペナルティーの対象になる。

 

シェイクダウン
ラリー本番直前に、主催者が用意したテストコースで行われる公式テストラン。マニファクチャラーズ・チームはこのテスト参加が義務づけられている。競技車の足慣らしを目的にテスト走行が行なわれることがある。

 

車検
競技車両は出場前に、主催者による公式車両検査を必ず受けなくてはならない。これはマシンがホモロゲーションに準拠しているかどうか、改造がFIA規定内で行われているか、ラリーの出走に支障がないか、などをチェックするために実施される。例えば、ターボチャージャーやトランスミッションなどから、ロールケージ、消火器、シートベルトなどの安全装備、ヘルメット、レーシングスーツ、グローブ、シューズなどクルーが身につける物もチェックを受ける。さらにそのマシンが属しているクラスの規定重量のチェックも行われる。上位入賞車はゴール後にも再車検があり、この検査に合格してはじめて正式結果が発表されることになる。

 

ジュニア世界ラリー選手権
2001年から始まった1600ccのFFラリーカーの「スーパー1600」が、2002年から「FIAジュニア世界ラリー選手権」に形を変えた。マシンのレギュレーションにはほとんど変更はない。対象となるイベント数も7戦で同じである。タイトルはドライバーに掛かるが、出場ドライバーに対する年齢制限は27歳までとなっている。

 

シーリング
車両規則によって分解が禁止されている部品、例えば、エンジンやターボの取付口付近や取付ボルトなどが、車検時の状態で競技中も守られていることを確認するために、ワイヤーを使って封印を施すことを言う。

 

スイーパーカー
「スイーパーカー」とはオフィシャルコースカーのひとつ。最終競技車の後から走って行く車。日本のラリーでは先行車に対して「後行車」などと呼ばれている。SSでコースアウトした競技車の対応などを行う。コースが完全にクリアな状況であることを確認する役割を持つ。スイーパーカーが通過するまでは、たとえオフィシャルであってもむやみにSSコース内に入ることは許されない。

 

スタッドタイヤ
雪や氷のラリーで使われるタイヤ。日本ではスパイクタイヤと呼ばれる。通常のラリータイヤより細いタイヤに多数のスタッド(スパイク)を打ち込んだもの。これはスタッドをうまく雪面に食い込ませるため、タイヤの面圧を大きくするための形状をしている。スタッドタイヤを使用するのはモンテカルロラリーとスウェディッシュラリー。しかし、それぞれのラリーではスタッドの本数、形状、長さの規定が異なっており、雪の多いスウェディッシュではモンテカルロより一般的にはヘビーデューティーなものが使用されている。

 

ステージ
「ステージ」とは、SS(スペシャルステージ)のこと。または前後のロードセクションを含んだSSのこと。

 

スーパースペシャル
SSの一種。完全に閉鎖したサーキットのような場所で2台、または3台が同時に走行して観客向けのパフォーマンスを意識して見せるSSをスーパースペシャルと呼ぶ。距離は短いのが普通である(数km)。距離が短いため大きなタイム差がつかないのでラリーの勝敗にはあまり大きな意味を持たない。しかし大観衆が集まることで、ラリーのショーアップ化に役立っており、人気のイベントになっている。

 

SS(スペシャルステージ)
一般の通行を完全に遮断してラリーカーがタイムアタックを行うコース。このSSを全開アタックした走行タイムの合計によってラリーの勝敗が決まる。SSのコースとしては、公道や林道、サーキットなどが利用される。各SSの距離は数km〜数十kmと様々。現在のWRCではSSの数は20ケ所前後に設定され、SSのトータル距離は400km前後が平均的な距離である。タイムはSSスタート地点とSSゴール地点にセッティングされた光電管と呼ばれる測定計器によって1/100秒まで計測される。その1/10秒までが成績に反映される。SSのスタートはスタンディング・スタート(エンジンを始動しスタートラインに停止した状態からのスタート)、SSのフィニッシュはフライング・フィニッシュ(全開で走り抜けて、フィニッシュラインを通過した時までのタイムを計測する)。

 

世界ラリー選手権
世界ラリー選手権はWorld Rally Championship(WRC)の日本語表記。FIAが認めている世界選手権はWRCとF1のみで、F1がレースの頂点であるように、WRCはラリーの頂点として位置づけられる。これまで日本からは多くの自動車メーカーが参戦し、多くの実績を収めている。当初からWRCには無くてはならない存在として活躍を見せている。WRCは1973年に「マニファクチャラーズ・チャンピオン」としてスタート、79年からは「ドライバーズ・チャンピオン」が加わった。さらにグループNの「FIAプロダクションカー世界選手権」、スーパー1600が「FIAジュニア世界選手権」として昇格するなど、WRCは4つのタイトルを巡ってホットな戦いが展開されている。

 

セクション
「セクション」とはレグを構成しているパートのことをいう。いくつかのセクションによってレグが構成され、いくつかのレグによって1つのラリーが構成されている。
セクションとセクションの間にはリグルーピングが設けられている。

 

0(ゼロ)カー
「0(ゼロ)カー」はオフィシャルコースカーのひとつで、「先行車」と呼ばれている。競技車から15分先行してラリーコースを全て走行する。SSでの安全の最終確認を行う。また、サイレンを鳴らしてこれから競技車がやってくることを知らせる役割も持つ。0カーの通過後は、オフィシャルでもむやみにSSコース内に入ることは許されない。さらに「0カー」より前に「00カー」が走行し(30分先行)、さらに先行して「インフォメーションカー」が走行して、安全に運営されるよう万全なチェックをしている。

タイムカード
クルーはスタート前に「タイムカード」を受け取る。そこにはSSのスタート時間、次のタイムコントロールへの時間などが記入されている。クルーは各TCで通過の記録を受ける義務があり、このタイムカードに次々とその記録がされていく。タイムカードにはSSでのタイムやロードセクションのペナルティーなど、そのクルーのタイムに関するすべての情報が記されていることになる。一般にはコ・ドライバーが管理する。タイムカードを紛失すると失格という重いペナルティーが課される。

 

タイムコントロール
ラリールート上には、多くの「TC(タイムコントロール)」が設置されている。ロードブックなどにはTCと略して記載される。ラリーコース上で赤色や黄色の時計マークの看板が設置されている場所がTCエリアである。SSのスタート、ゴール、サービスパークの入口、出口などで、ラリーカーの通過時間をすべて確認している。TC到着が指示された時間より早すぎても遅すぎても、ペナルティーとして減点が加算される。ラリーの勝敗の要因には、SSの走行タイムの速さとともに、TC間の移動の正確さも含まれる。

 

ターマック
いわゆる舗装路のこと。舗装路といってもフラットな路面だけではなく、ざらざらした簡易舗装や、ひび割れた路面、穴のあいた路面もある。アベレージスピードもコーナーの多い少ないや、ストレートの長さの違いによって大きく変わってくる。

 

ターマックタイヤ
舗装用タイヤ。以前はサーキット同様にスリックタイヤが使用されていたが、現在はパターン入りのタイヤの使用が義務付けられている。またラリー用のターマックタイヤはサーキット用のタイヤよりサイドウォールが補強されている。これはコース脇の石や縁石などでタイヤをカットする可能性が高いための予防措置といえる。

 

トラッキング
SSのコース上での競技車両の通過をくまなく追跡するシステム、およびそのために配置されたスタッフのことをいう。基本的にSSコース内にはコース5kmにつき1カ所「トラッキングポイント」が設けられ、各ラリーカーがその地点を通過した時間を克明に記録して、ラリーHQに随時報告する。これによりラリーHQではSSコース上の状況をリアルタイムに把握する。このシステムによって競技車の不通過を即座に発見し、コース上のどこで何号車がトラブルを起こしているかを確認する。

パルクフェルメ
パルクフェルメ(Parc Ferme)は元来フランス語。日本語では「車両保管場所」などと訳される。ここは選手たちから競技車を隔離するために設けられたエリアのこと。ラリーのスタート前、各レグ終了後翌日のスタートまで、ラリーのゴール後など、定められた場所に競技車を集めて、主催者が保管をする。特別に認められた以外の補修作業や燃料補給は一切認められない。パルクフェルメ担当のオフィシャル以外は誰もエリア内にとどまることが出来ない。ドライバーはパルクフェルメにラリーカーを駐車した後は、直ちにそこを離れなくてはならない。選手は予め定められたスタート時刻の10分前にならないとパルクフェルメに入る事は出来ない。

 

フライング・フィニッシュ
SSのゴール地点ではタイム計測用の光電管が設置されており、ラリーカーはその前を全開で走り抜ける。そのビームを切った時点がSSのゴールとなる。このゴールの事をフライング・フィニッシュという。この後ラリーカーはスローダウンして、200mほど先にあるタイムコントロールで停車して、そこでSSのタイムをタイムカードに記入してもらう。

 

ペースノート
ドライバーがより速くより確実に走るため、SS(スペシャルステージ)のコースレイアウトや路面状況を細かく記録したノートのこと。ペースノートはレッキにおいて作成される。そこに書かれている主な内容は、路面状況(水たまり、ジャンプ、スリッピー状況)、コーナーの曲がり程度(右か左。緩急の程度、入り口と出口の様子)、次のコーナーまでの直線距離など重要な情報ばかりである。その他に橋とか溝の記述も大切である。これらの情報は数字や略字で記号化されるが、表記の方法はクルーによって異なる。 ラリーにおいてはコ・ドライバーは、走りに先行してペースノートを読み続けることになる。

 

ポディウム
表彰台のこと。多くの場合、ラリーのフィニッシュ地点では暫定の表彰式が開催される。最近はサーキットレースのように、1、2、3位のラリークルーのお立ち台を設置して、それぞれのマシンをポディウムの前に並べて表彰を行うこともある。

 

ホモロゲーション
いわゆる公認のこと。自動車メーカーがグループAやNの規定に準拠して車両を生産し、その生産台数が規定数に達していることを公認証書(ホモロゲーションフォーム)としてFIAから証明されたということを示す書類。国際格式の競技に出場するには、FIAから公認された車両とし、その公認書(ホモロゲーションペーパー)を参加者側で準備することが義務付けられている。この公認書には車両に関する細かなスペック(車体サイズ、形状、エンジンのカム形状、トランスミッションのギア比など)が記載されている。車検委員はラリー前に実施される車検時にこの公認書をもとに、参加競技車両の確認を行う。

マーキング
車両レギュレーションによって使用が制限された部品などが、競技の間ずっと車検時の状態で守られているかどうかを確認するために、封印を施すことを言う。具体的には、競技車に装着したターボやタイヤとそのスペアなどに、塗料を用いて印を付ける。マーキングは車検時に車検委員によって行なわれ、オフィシャルは競技中これを任意にチェックする。また、タイヤへのマーキングは各サービスパークの出口でも行なわれる。

 

マッドタイヤ
マッド(泥用)のタイヤ。グラベルタイヤよりブロックが大きく、排水、排土性の向上のために溝幅が極端に広げられている。またスタッドタイヤ同様に面圧を上げるために、通常のグラベルタイヤより細めのデザインとなっている。タイヤの特質上マッドでは抜群の性能を持つが、ドライのグラベルでは磨耗が激しいため、使用されるSSはかなり限定を受ける事になる。

 

マニファクチャラーチーム(ワークスチーム)
自動車メーカーが自社を代表する、と認めたチーム。WRCでは3名のドライバーをマニファクチャラーズ・ポイント対象ドライバーとしてノミネートする制度がある。さらに、そのうち2名は事前に年間登録をしなくてはならない。ただし、マニファクチャラーズ・ポイントとしてカウントされるのは、上位2名の獲得合計ポイントだけとなる。

 

ムースタイヤ
タイヤにドーナツ状のムース(スポンジ)を組み込んだもの。パンクして空気が抜けた場合でも、ムースがタイヤの形を保持して、タイヤ交換なしでも走行を続けることが出来る。ラリーではパンクがつきものだけに、現在のWRCでは欠かせないタイヤとなっている。ムースはターマック、グラベル、スノー、マッドなどすべてのタイプのタイヤに組み込むことができる。ピレリはEMI、ミシュランはATSと呼んでいる。

 

モーターホーム
ドライバーの休憩や、メカニックなどチームメンバーの食事サービスなどとして使用される。さらには、ミーティングの場所としても使われるなどラリー現場で多目的に使われる車。現在ではサービスパーク場所が1〜2ヶ所に固定され、移動がなくなったために大型バスやトレーラーが持ち込まれることが多い。

ラリーコンピューター
コ・ドライバー用にラリーカーに搭載された計算機器。次のコーナーまでの距離表示やその補正をするため、時間や距離をインプットすると、次の目的地までの平均スピード、時間の遅延などが表示される。レッキにおいてはコーナー間の直線距離を正確に把握するため、ドライバー側にも装着されることもある。また燃料の残量とSS最高速度も表示される。

 

ラリースタート
ラリー競技では全車が一斉にスタートはしない。原則として1分おきに1台ずつ、時間差を設けてスタートしていく。例えばゼッケン1号車が08:00にスタートしたら、60号車は08:59にスタートすることになる。したがって1号車がスタートしてから60号車がスタートするまでには1時間以上かかるということになる。これはSS上での観戦でも、フィニッシュ地点においても同様。なお、国際規則では原則として1つのラリーで出走する競技車は90台以内と決められている。また、RALLY JAPANでは、最初の20台のみ2分おきにスタートする。

 

ラリーの勝敗
ラリーの勝敗は、1秒を1点と換算した減点方式で決まる。通常1/10秒までが計算される。例えば、あるSSの走行タイムが「10分10秒5」と計測された場合、そのSSタイムは「610.5秒」すなわち「610.5点」と計算される。またTCに早着または遅着した場合も1分早着につき60点、1分遅着につき10点の減点が加算される。このようにラリーの進行に伴って点数が加算されていき、最終的に減点の少ないクルーが勝者となる。

 

リエゾン
「リエゾン」は「ロードセクション」と同義語。(※「ロードセクション」項参照)

 

リグループ
本来なら競技車は、ゼッケン順に1台ずつ1分間隔で走行していきます。しかし、競技の進行に伴って、走行の順序が入れ替わったり、間隔が空いたりすることがある。「リグルーピング」とはこの空いてしまった間隔を調整するために、競技車の走行順列を再編成することを言う。リグループは各レグの中間のサービスパークへ入る前に置かれる。これはラリーの進行が何らかの理由で遅れた場合を想定して、リグループで隊列を整えることを目的としているため。パルクフェルメ同様、ドライバーは駐車後、次のエンジン始動までリグループ内への立ち入りを禁じられている。一般的にリグループは15分から30分程度と短い。

 

リザルト
SSで計測されたタイムや、TCの通過時刻が記録されたタイムカードは、すべてラリーHQの「リザルト本部」へ集められる。リザルト本部ではこれを集計して正式なリザルトを発行する。また、リザルト本部ではタイムカードが届けられるよりも先に、様々な通信手段によって各TCからSSの計測タイムを集めている。これはSS速報として(正式ではなく参考としての成績)、メディアやサービスパーク、スペクテーターエリアなどへ配信サービスを行っている。

 

リフュール
「リフュール」再給油、燃料補給といった意味。競技車はロードブックによって指定されたリフュールエリア以外で燃料を補給することは出来ない。リフュールエリアは通常サービスパークに隣接して設置される。また、それ以外にもエリアを設けて追加給油が行なわれる場合もある。

 

レグ
「レグ」はラリーを構成しているパートの単位。ラリーはいくつかのレグによって構成され、レグはいくつかのセクションによって構成されている。レグとレグの間には一定の停止時間(最低6時間)が設けられている。また、1つのレグにおけるクルーの運転時間も一定時間(最大18時間)を超えないよう定められている。

 

レッキ
主催者はラリー参加者にロードブックと、時には一般的なペースノートを配布する。しかしこれだけでは全開走行をするための情報が全く不足している。このため参加者はレッキと呼ぶ下見を行い、コース状況を細かくチェックすることになる。この下見走行のことを「レッキ(Recce, Reconnaissanceの略)」と言う。ただし、レッキ中の走行にはさまざまな制限が加えられている。例えば、速度については、スペシャルステージ内は時速30km以上での走行は禁止されている。レッキにおいてドライバーは自分の走行感覚に合わせて、コーナーの曲がり具合や、使用するギア段数、コース上の障害物、ジャンプスポットなどを口述し、コ・ドライバーがそれを記入したペースノートを作成する。通常1つのコースをレッキ走行できる回数は2回まで。その限られたレッキでペースノートの完成度をどこまで高められるかが、勝敗を左右することにもなる。したがってラリーにとってレッキはとても重要である。

 

レッキカー
レッキにおいてはラリーの本番車を使うことは禁止されている。そこでマニファクチャラーチームや有力プライベートチームはグループN仕様に準じた専用のレッキカーを持っている。レッキカーはスポンサー名などが入ったカラーリングは禁止されている。その結果、白やグレーといった単色が塗られることになる。タイヤは一般市販タイヤの使用が義務付けられている。

 

ロードクロージャー
SSが行なわれる林道や、その林道に通じる枝道の入口や出口に配置されているオフィシャルのこと。SSを含めて関係する道を完全に封鎖して、SSコース内が安全に保たれ、競技車の走行に支障がないように通過コントロールを行なっている。

 

ロードセクション
ラリー中の移動区間。「リエゾン」もロードセクションと同義語。「ロードセクション」には次のようなものがある。ラリーのスタートからSSのスタートまで、SSのゴールから次のSSのスタートまで、SSのゴールからサービスパークまでなど。すなわち、ラリーカーがタイムアタックをせずに走行する区間のこと。ロードセクションは閉鎖されておらず、ラリーカーも一般車に混じって走行する。したがって当然ながら一般公道の交通法規を守ることが求められている。道路状況に関係なく、TCに到着するのが指示された時間より早すぎても遅すぎても、ペナルティーとして減点が加算される。

 

ロールケージ
ラリーカーの室内に張り巡らされたスチールパイプ製の安全装備をロールケージという。ロールバーと同義語。ロールケージはドライバーとコ・ドライバーをアクシデントから守ることが第一義であるが、その他に、ボディ剛性をあげるためのアイテムとしても重要なパーツである。構造形体や取り付け方法についてはFIAのルールによって細かく規定されている。

ワールドラリーカー
WRカーと表記されることが多い。1997年からWRCに導入されたカテゴリー。現在のWRCの中心的な存在。連続する12ヶ月間で2万5000台以上生産された2輪駆動の車両をベースとし、エンジンの載せ変えとターボ装着、駆動方式の4WD化などの大幅な改造が認められる。WRカーの規定はレギュレーションの公平性だけでなく、4WDやターボを市販車に持たない自動車(欧州に多い)メーカーにもWRC参加の門戸を開いたものとして、高い評価を得ている。